このプロジェクトのスタートは、Comenzaで既に販売されているシンプルでベーシックなハンドレールサポートをどのようにリニューアルするかという事でした。
デザインを進めるにあたって、金属の鋳造による製造という制約の中で、自ら3Dソフトやリアルなフォームモデルで造形の可能性を探る事により、徐々に形状を固めていきました。その中で一つ要素として意識したのは、柔らかさと固さの融合により、モダンな造形を確立するという事です。
最終的には二つの形状が商品となりました。
Comenza
一つ目は、壁側の根本部分から徐々に細くなっていく円筒形状と、縦方向の角柱形状をスムーズに繋ぎ合わせた形状です。
機能的な制約として、取り付けのために壁側のカバーを外した際に穴を本体に通して、上面のレールの受け側まで移動させる必要があるため、徐々に細くなっていく円筒形状は、角柱と繋がる部分では楕円形状に変化しています。また、角柱部分の前後の面にはわずかに膨らみを持たせて柔らかさを与えています。
二つ目は強度を保ちながら厚みを可能な限り削ぎおとし、端面にはわずかに丸みをつけて、柔らかさを加えました。側面から見た時の角部分のRも強度と見た目のバランスをとって決定しました。
こちらもカバーを上面まで移動させる必要があるという機能的制約があるため、そのことも考慮して数値を決定しています。
このプロジェクトにおいて最も重要なデザインアスペクトは、ミニマルな造形とオリジナリティの両立という事でした。
単純な円柱、角柱といった形状を用いるというのではなく、必要最小限の材料を用いながら、固さと柔らかさの融合した新しい切り口の造形を生み出して製品にオリジナリティを与えました。
また、当然鋳造の製造における条件や機能的な必要性を満たすために0.1mm単位での細かな形状調整を行い、デザインが完成しました。
オリジナリティがありながらシンプルでどのような環境にも馴染むモダンなハンドレールサポートです。