京都で200年余りの歴史を持つ、金属工芸工房・竹影堂に向けて帯留めとかんざしをデザインしました。和装に合わせる装飾品に対して、和のモチーフを取り入れながらも洋風のスタイルをミックスすることで、現代的な和装アクセサリーを実現しました。
参考にしたのは、1900年代前半にヨーロッパやアメリカで流行したアール・デコスタイルです。当時幾何学的なモチーフを用いて様々なパターンが作られ、洋服やインテリアを美しく彩っていました。和装には比較的具体的なモチーフを用いた表現が多くみられますが、この幾何学的パターン表現を取り入れる事で、オリジナリティを出すことを試みました。具体的には、厄除けとして用いられる南天と、京都を象徴する石庭をモチーフとして取り入れました。
それぞれのモチーフを幾何学形状に単純化し、さらに深みを与えるために段差を付けた二重構造のパターンにしました。これは非常に細かなパターンですが、竹影堂に代々受け継がれた技術により、手作業で精度の高い原型を完成することが出来ました。
最終的な製品は、原型をもとにしたロストワックス鋳造にて銀で製造されています。
帯留めは、同じモチーフで異なる柄を二つ作り、それを筒状の本体の裏表に配したデザインになっており、一個で二つの柄が使用できるようになっています。
かんざしは、シンプルなバチ型の形状に、帯留めと同じパターンを調整して配置しました。
帯留めとかんざしをどちらも合わせて身に着けた時の調和も考慮し、共通のシリーズとしてデザインしました。
それぞれのパターンの名前は、フランスを発祥とするアールデコにちなんで、フランス語で庭を意味する”ジャルダン”と、木の葉を意味する”ファヤージュ”と名付けました。
アールデコのレトロな空気感も持ちながら、和装を引き立てるモダンな銀の帯留めとかんざしです。
Photos by Michiko Hisafuji
プロジェクトサポート:WGD京都
竹影堂ショップかざりや鐐
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