ADASHINO HOUSE

Shogado  2025

色紙短冊・和紙製品・和文具を手がける尚雅堂の新拠点、ADASHINO HOUSEのインテリアデザインを手掛けました。京都・嵯峨鳥居本の歴史的建造物保存地区に位置するおよそ築100年の町家を活用し、尚雅堂の和紙商品の魅力が最大限に感じられる空間を作りました。できるだけ既存の構造や建具を残しながら、尚雅堂の商品が映えるような機能性をモダンな形で加えました。

SHOGADO
 
 

 
空間全体のプランとしては、入口道路側に面した空間をショップエリア、床の間のある裏側庭に面した空間をミーティングエリアとして大きく二つに区切り、道路側から窓越しに尚雅堂のメイン商材である御朱印帳やノートが見える配置になっています。
 
 

 
 

 
 

 
素材に関して、棚什器は全てウォールナット調に仕上げ、古い町家のダークブラウン色に塗られた構造物と調和しながら、尚雅堂の商品を引き立てます。カウンターとアイランド什器はコンクリート調の仕上げで、床のモルタルとセラミックに調和し、空間全体にモダンな印象を与えます。
 
 

 
 

 
ショップ東側には、友禅和紙の全紙サイズが十分扱いやすい面積のカウンターを配置し、その背面には友禅柄が全紙サイズでかけられるハンガーラックを備えています。
 
 

 
ショップエリアの西側半分は一階の天井を撤去し、屋根裏までの高さを確保する事で空間を広く見せるとともに、京町屋の特徴でもある虫籠窓からも採光ができるようにしました。
また、既存の構造を維持するために住居として使用していた際の床高を確保しながら、アクセスしやすいように階段を設置して、床面はセラミックタイルでモダンな印象を与えています。
 
 

 
 

 
ショップ西側奥には元々押し入れスペースがありましたが、その空間を活かして全紙が収納できる棚を設置しています。また、箱ものや扇子等比較的サイズ感の大きいプロダクトも配置できます。
ショップ空間にはアイランド什器も3つ配置し、細かなメモ帳等を平置きできます。
 
 

 
 

 
道路側から見える壁面にはショップ西側、東側にそれぞれ1つずつ横幅3m弱の棚を設置しています。御朱印帳であれば1つの棚に最大60冊程度置く事が出来るため、尚雅堂の様々な柄のコレクションを一度に見る事が出来ます。棚の下部には扉付きの収納を備えています。
 
 

 
 

 
 

 
ミーティングルームとショップ空間は、縦線のテクスチャーが入ったモールガラス入りの扉で仕切る事で、光を通しながら目隠しの役割も果たしています。ミーティングルームはショップ空間と色を合わせた土足対応のロールカーペットで仕上げ、靴を脱ぐ手間なく空間全体を移動できるようにしています。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
Photos by Yohei Sasakura
 
 
 

Photo by Ryosuke Fukusada
 
床の間の前にはソファとローテーブルを配置し、そこに座ると縁側の雪見障子越しに築年とほぼ同じ程度の樹齢を持つ庭のサツキが目に入ります。
 
照明計画は、既存の梁を活かして配置したスポットライトをベースとしています。
スポットライトの位置と什器や空間を照らす角度を計算しながら、光源が目に入らないようにできる限りダクトレールを梁の側面に配置し、その中にアクセントとして、オリジナルでデザインした友禅和紙を用いたペンダントランプを配置しています。
 
ショップ空間は3500Kを基本として友禅和紙の色がしっかり見える色温度とし、ミーティングルームは2700Kにしてリラックスして打ち合わせができる空間を作っています。
 
単なる店舗やショールームではなく、“暮らしと文化をつなぐ場”として、開かれたスペースとなる新たな京都の文化発信拠点に相応しいインテリアのデザインです。
 
 
プロジェクトマネージメント:株式会社尚雅堂 / 代表 松尾安浩

空間デザイン、プロダクトデザイン、照明計画:福定良佑

グラフィックデザイン:中田泉

施工:株式会社ペルソナ / 代表 高橋克典

什器造作:株式会社エムシーエス / 代表 田端智広

什器造作:Y-Wood / 代表 廣部寧

家具協力:MASTERWAL

写真:笹の倉舎 / 笹倉洋平